空気には、約78%のチッ素、約21%の酸素、その他アルゴンや二酸化炭素、ヘリウムなどの気体が含まれています。人間をはじめ、ほとんどの生き物は生きていくために呼吸をして空気を体内に取り入れることが必要です。
空気の汚れ(汚染物質)には様々な原因があります。例えば、屋外の場合には、自動車や工場から排出されるガスなど。屋内の場合には、粉じん、かび、タバコの煙、呼吸によって吐き出される二酸化炭素、燃焼機器の不完全燃焼によって発生する一酸化炭素、建材や家具に含まれる塗料や接着剤から発生するホルムアルデヒドや揮発性有機化合物が挙げられます。
人は、1日に3万回※1近く呼吸し、14,400ℓ※2という大量の空気を吸い込んでいます。そのため、例えば屋内において、かびや粉じん、建材や家具に含まれる塗料や接着剤から発生する化学物質などの汚れた空気が体内に入ることで、健康に影響を及ぼすことがあります。家の中で快適に暮らすためには、空気中の汚染物質の濃度が高くならないように注意が必要です。
成人の場合。出典:平成24年度 喀痰吸引等指導者講習事業 「喀痰吸引等指導者マニュアル」
呼吸1回で吸い込む空気の量を500ml、1分間の呼吸回数を20回とした場合。
自然豊かな場所に行くと空気がおいしいと感じるのはなぜでしょう?
交通量が多い場所の空気には、排気ガスなどの汚染物質が多く含まれているのに対して、自然豊かな森などは汚染物質が少ない環境にあります。環境によって空気の味(成分)は異なるのです。また、においも空気をおいしいと感じる理由の一つです。排気ガスのにおいが原因で不快な気持ちになったことはありませんか。人によっては、体調不良にまでつながることもあります。一方で、においが心地よさを感じさせてくれることもあります。木から放出されるにおいには、テルペンという香り成分があり人の気持ちを静め、リラックスさせる働きがあるので空気のおいしさを感じられます。特に春から夏にかけては木から放出されるテルペンの濃度が高くなるので空気がおいしいと感じやすいです。食べ物と同じように、空気も味(成分)や香りによっておいしさを感じることができます。
出典:森 孝博,フィトンチッドと森林浴について,岐阜県森林研究所
身近な空気がおいしい場所は自然豊かな森林が思いうかびますが、世界で見てみると、世界各国都市部のPM2.5年間平均濃度が低い国は、194の国と地域の中ニュージーランドとブルネイが1位でした(日本は31位)。PM2.5のような汚染物質が少ない国の空気はおいしいと感じることでしょう。また、オーストラリアにあるタスマニア州も空気がきれいでおいしい場所として有名です。人口自体が少なく世界遺産に登録されるほどの自然豊かな原生林をもつことから、汚染物質が少ないため空気がおいしいのです。空気の影響できれいな雨水は、飲料水としても販売されています。旅行の際には、その場所の空気のおいしさも味わってみてはいかがでしょう。
出典:WHO 世界保健統計2018年版
汚染物質が少ないおいしい空気を守るために私たちにできること、それは普段の暮らしの中で出来るエコな取り組みを実践することです。
私たちが生活を送る上で必要なエネルギーを生み出す時や廃棄物を処理する時に汚染物質は発生します。汚染物質をゼロにすることは難しいですが、減らすための方法はたくさんあります。例えば移動の際には公共の乗り物を使うようにしたり、繰り返して使えるものを使用してゴミを減らしたり。これからも安心しておいしい空気を吸えるように、暮らしの中でできることを積み重ねていきたいですね。